東京都港区の栄和法律事務所は田中喜代重が所属する弁護士事務所です

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  • 気になる判決

    母親にも賠償義務(宇都宮地裁平成25年4月24日判決)

    栃木県鹿沼市で2011年4月に起きたクレーン車による6児童死亡事故の損害賠償訴訟で宇都宮地裁は24日、てんかんの発作を起こした元運転手(28)と勤め先の会社などに計約1億2500万円の支払いを命じた。
    争点は元運転手の母親(50)の賠償責任だったが、判決は母親が勤め先に運転させないよう通報すれば事故は防げたと認定。責任はあると結論づけた。…
    判決は、元運転手について、以前にも抗てんかん薬を服用せずに事故を重ね、医師に運転を禁じられていた。今回の事故でも前夜に服薬せず、疲労などから発作の予兆があったのに運転した過失があると認定した。
    さらに母親については、元運転手(息子)が01年ごろから、処方通り服薬しないと発作が出ると認識していた、元運転手が起こした別の人身事故の裁判で、供述に合わせて「寝不足」と証言するなど、発作の発覚を妨げてきたと指摘し、「第三者に露見する機会を息子とともに消滅させ、運転の危険をともに引き受けたと言える」と判断した。
    その上で、母親は事故前に元運転手が服薬しなかったと知っており、事故を予見できたのに、それを防ごうと会社に通報しなかったのは違法だと結論づけた。
    成年の親に監督義務を認めた珍しい判決で、元運転手のような病気を持つ同居家族はこれから先かなり注意することが必要になった。
    元運転手は自動車運転過失致死罪で、懲役7年の実刑が確定している。
  • 気になる判決

    ほたる族にも賠償義務(名古屋地裁平成24年12月13日判決)

    マンションのベランダからの受動喫煙による被害を訴え、住人の女性(74)が階下の男性(61)を相手に150万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、名古屋地裁が女性の精神的損害を認めて5万円の支払いを命じた。
    受動喫煙を巡る訴訟で原告勝訴の判決は珍しい。
    判決によると、女性は名古屋市瑞穂区のマンションに入居後の2010年4月頃から、たばこの煙が室内に入ってくるのを感じ、翌月以降、男性に口頭や手紙などで、室内で喫煙するよう求めた。
    しかし、男性は11年9月まで応じずベランダで吸い続け、女性はたばこの煙で体調が悪化したとして同年11月に提訴した。
    判決では、女性にたばこの煙による体調悪化は認められないとしながらも「男性は喫煙をやめるよう依頼されたにもかかわらず吸い続けた」と指摘し、他の居住者に不利益を与えていることを知りながら、ベランダでの喫煙を続けたことは不法行為に当たると判断した。
    愛煙家には肩身がますます狭くなる判決だか、多分女性の要求に対して男性の態度が聞く耳持たないという態度だったように思われる。
  • 気になる判決

    タクシーの降車後に転倒してもタクシーに責任あり(大阪高裁平成23年7月20…

    人身傷害保険における「自動車の運行に起因する」事故かどうかをめぐり、タクシ-降車後の転倒骨折につき、一審の奈良地裁葛城支部はこれを否定し、二審大阪高裁は、これを肯定して人傷支払いを認め、最高裁が人傷会社の上告受理申立棄却をしたというもの。
    要点は、転びやすい道路形状であることを認定したうえで、
    ①降車後1歩か2歩歩いたところで道路段差につまずいた。
    ②被害者の妻は、そのときまだ車内で運賃精算していた。
    このような場合は、運転手がドアを開け、乗客が全員降車し終わってドアを再び閉じるまでの間も自動車の運行中と解するのが相当であるとした。
    「駐停車と事故の時間的場所的近接性」の他に駐停車の目的、同乗者の有無及び状況を総合的に勘案して、「自動車の運行に起因する事故」に該当する場合があると解されると高裁は判断した。
    結局タクシーの運転手は乗客が降りてもドアを閉め終えるまでは気を抜けないということになるが、タクシー側の責任を重くしすぎのような気がする判決。
    ①降車後1歩か2歩歩いたところで道路段差につまずいた。
    ②被害者の妻は、そのときまだ車内で運賃精算していた。…
    判決は、元運転手について、以前にも抗てんかん薬を服用せずに事故を重ね、医師に運転を禁じられていた。今回の事故でも前夜に服薬せず、疲労などから発作の予兆があったのに運転した過失があると認定した。
    さらに母親については、元運転手(息子)が01年ごろから、処方通り服薬しないと発作が出ると認識していた、元運転手が起こした別の人身事故の裁判で、供述に合わせて「寝不足」と証言するなど、発作の発覚を妨げてきたと指摘し、「第三者に露見する機会を息子とともに消滅させ、運転の危険をともに引き受けたと言える」と判断した。
    その上で、母親は事故前に元運転手が服薬しなかったと知っており、事故を予見できたのに、それを防ごうと会社に通報しなかったのは違法だと結論づけた。
    成年の親に監督義務を認めた珍しい判決で、元運転手のような病気を持つ同居家族はこれから先かなり注意することが必要になった。
    元運転手は自動車運転過失致死罪で、懲役7年の実刑が確定している。
  • 気になる判決

    白い恋人と面白い恋人(札幌地裁、平成25年2月13日和解)

    「白い恋人」を製造販売している石屋製菓が、「面白い恋人」を製造販売している吉本興業らを相手に「面白い恋人」の製造販売中止等を求めて提訴した事件で、判決ではなく、平成25年2月13日、札幌地裁で判決前の和解で解決したという事案。
    ことは、このブログでも何度も、紹介しました。
    和解の主な内容は以下の通り。
    ①吉本興業らは、本年4月1日を目処に、「面白い恋人」のパッケージデザインについて「白い恋人」と誤認混同の恐れがない内容に変更する。
    ②吉本興業らは、「面白い恋人」の販売地域を、近畿6府県(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県及び和歌山県)に限定する。 但し、北海道及び青森県を除く地域において、年間36回を上限とした期間1か月以内の催事での販売は例外とする。
    ③商品名の「面白い恋人」はそのまま使用してよい、本和解に伴う吉本興業らから石屋製菓への金銭支払いはない、
    「面白い恋人」は誰が見ても「白い恋人」のパクリであることは明らかであるにもかかわらず、「面白い恋人」の継続使用を認めたことや吉本興業らからの金銭支払いがない点、そして販売地域についても関西限定とはいうものの一定の例外があること等から、石屋製菓側が相当譲歩した内容になっているという印象を受けた。
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    次代の法曹に求められる資質とスキル

    6月18日に読売新聞主催の法科大学院受験生にたいするセミナーで別添の講演をしました。 弁護士業界の現状について、統計の数字を入れながらまとめたものです。 現役の法科大学院生(早稲田法科大学院)のアンケートも入れていて、現役弁護士や現役法科大学院生の考えも多少分かるものになっています。

    [pdf] 次代の法曹に求められる資質とスキル 23.6.18